というニーズに応える方法として生み出されたのが『テイラー展開』。
『ブルック・テイラー』(1685-1731) が導入したと言われています。
『テイラー展開』の特徴はこれら。
・複雑な関数を『多項式』で表せる
・ある1点の情報から近所(近接)の事を知る事ができる
ということで、まずは『単項式(たんこうしき)』と『多項式(たこうしき)』の違いからまとめてみます。
テイラー展開をわかりやすく まずは単項式と多項式
まずは『単項式(たんこうしき)』から。
『単項式』は掛け算だけでできています。
$$ 2y= 2 \times y $$
$$ -50y= -50 \times y $$
$$ 3abc= 3 \times a \times b \times c $$
掛け算の「×」は省略できて、くっつけられるので、
『2y』『-50y』『3abc』はそれぞれ1つの『項(こう)』ということになります。
続いて『多項式』。
$$ 2a + b = 2 \times a + b $$
$$ 2a^2 – 3b^2 = 2 \times a \times a + ( -3 \times b \times b) $$
$$ 10a^2 + b = 10 \times a \times a + b $$
『多項式』は「+」や「-」が含まれていて、
いくつかの『項(こう)』をくっつけた式になっています。
テイラー展開をわかりやすく マクローリン展開とは
『テイラー展開』は、
ある1点の情報から近所の事を知るというのが大きい特徴なのですが、
ある1点が 0 (原点まわり)の場合は特別に、
『マクローリン展開』とも呼ぶそうです。
- 『コリン・マクローリン』(1698-1746) スコットランドの数学者。
18世紀に『ブルック・テイラー』さんが提唱した時に、
『マクローリン展開』と言っていたとかいないとか。
テイラー展開をわかりやすく ある1点から近所の事を知るって?
教育系Youtuber『ヨビノリたくみ』さんの動画を参考にまとめてみました。
お題で上がっていたのは、
『指数関数』$$ f(x) = e^x $$ を
$$ x = 0 $$まわりで『テイラー展開』するという内容で。
$$ e $$ は『ネイピア数』と言って、
グラフにするとこんな形にぐいーんと伸びていく形になります。
『ネイピア数』の参考記事
テイラー展開をわかりやすく ステップ1 1次関数を見つける
まずは、$$ x = 0 $$ の近くで、$$ f(x) = e^x $$ っぽい『1次関数』を見つけます。
- 1つめの条件・・xに0を代入したら1になる。(0次近似(ゼロジキンジ)といいます。)
$$ f(0) = 1 $$
- 2つめの条件・・『微分』して0を入れても同じ値になってほしい。(1次近似(イチジキンジ))
$$ f'(0) = 1 $$
微分の参考記事
2つを満たす1次関数はこれ。
$$ f(x) = 1 + x $$
でも『1次関数』は直線なので、曲がってる箇所は寄せれません。
テイラー展開をわかりやすく ステップ 2次関数を見つける
『2次関数』ならぐいっと曲げて表現できるので、
$$ x = 0 $$ の近くで、$$ f(x) = e^x $$ っぽい『2次関数』を見つけます。
- 1つめの条件・・xに0を代入したら1になる。(0次近似)
$$ f(0) = 1 $$
- 2つめの条件・・『微分』して0を入れても同じ値になる。(1次近似)
$$ f'(0) = 1 $$
- 3つめの条件・・2次関数なので『2階微分』して0を入れても同じ値になってほしい。(2次近似)
$$ f”(0) = 1 $$
3つの条件を満たす式はこれ。
$$ f(x) = 1+x+ \frac{1}{2}x^2 $$
グラフにのせてみると・・
この要領で、もっと近づけるためには、
- 3次関数
- 4次関数
- 5次関数
- 6次関数
- n次関数
- ・・・
と次元をあげて、無限に繰り返せば、グラフにぴったり寄せることができるということになるようです。
テイラー展開をわかりやすく 一般のテイラー展開も同じ要領で
テイラー展開の式は以下。
xにaを入れると、f(a)だけ残って、後ろは全部0になります。(0次近似)
f(a) = a (後ろは全部0)
『1階微分』にaを入れてf'(a)にすると、
定数が消えて、f'(a)だけ残って、後ろは全部消えます。(1次近似)
『2階微分』にaを入れてf”(a)にすると、f”(a)だけ残ることに。(2次近似)
無限にやっていくとイコールになります。
テイラー展開をわかりやすく sinxでも試してみる
参考動画の最後に、
$$ y = sinx $$
を『テイラー展開』した時のグラフが載っていたのでやってみる事にしました。
参考記事
$$ sinx $$を『テイラー展開』した時の式はこう。
$$ y = x – \frac{1}{3!}x^3 + \frac{1}{5!}x^5 $$ ・・・
1つずつグラフに載せてみると・・
0次近似。$$ y = x $$
1次近似。$$ y = x – \frac{1}{3!}x^3 $$
2次近似。$$ y = x – \frac{1}{3!}x^3 + \frac{1}{5!}x^5 $$
3次近似。$$ y = x – \frac{1}{3!}x^3 + \frac{1}{5!}x^5 – \frac{1}{7!}x^7 $$
4次近似。$$ y = x – \frac{1}{3!}x^3 + \frac{1}{5!}x^5 – \frac{1}{7!}x^7 + \frac{1}{9!}x^9 $$
他にも『テイラー展開』できる式はたくさんあって、ウィキペディアにまるっとまとまっています。
- 指数関数
- 自然対数
- 幾何級数
- 二項定理
- 三角関数
- 双曲線関数
- ランベルトのW関数
などなど。
無限に繰り返すので『シグマ($$ \sum$$ )』で表現されていますが、考え方は同じです。
テイラー展開をわかりやすくまとめてみて
複雑な式をできるだけ簡単に表現しようとした『テイラー展開』。
式の丸暗記は流石にしんどいので、
『テイラー展開』の目的、やりたい事をぼんやりと知っておきつつ、
・複雑な関数を『多項式』で表せる
・ある1点の情報から近所の事を知ることができる
複雑な式も簡単に解きほぐせるという事を知っておくと、
よりややこしい式も使いこなせるようになるようです。
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